RAGとは?AIが資料を調べてから答える仕組みと身近な例、ハルシネーションとの関係

RAGとは?AIが資料を調べてから答える仕組みと身近な例、ハルシネーションとの関係

AIのニュースや、会社でのAI導入の話を聞いていると、「RAG(ラグ)」という言葉がよく出てきます。「社内の資料を読ませたAI」「検索してから答えるAI」の話のようだけれど、結局なにが違うのか分かりにくいですよね。

当記事では、RAGとは何か、どんな仕組みで動いていて、どこで使われているのかを、AI初心者向けにわかりやすく解説します。

目次

RAGとは?AIが答える前に資料を探して読む仕組み

RAG(ラグ)は「Retrieval-Augmented Generation」の頭文字で、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれます。ひとことで言うと、AIが質問に答える前に、関係する資料を探して読み、その内容をもとに答える仕組みです。

AWSの公式の解説では、AIが答えを作る前に、学習したデータ以外の信頼できる知識の置き場所を参照させる方法だと説明されています。Google Cloudも、検索やデータベースの長所と、文章を作るAIの力を組み合わせたものだと説明しています。

たとえるなら「図書館で調べてから答える」「カンニングペーパーを見ながら答える」

ふつうのAIは、学習したときに覚えた知識だけで答える「記憶頼み」の状態です。RAGは、答える前に図書館で本を探し、該当するページを読んでから答えるイメージです。テストで言えば、持ち込みOKのカンニングペーパー(資料)を見ながら答えるようなものです。

IBMの研究部門も解説記事の中で、RAGのあるなしを「教科書持ち込み可の試験と、持ち込み不可の試験の違い」(編集部訳)とたとえています。

ふつうのAIRAGを使ったAI
答えのもと学習したときに覚えた知識覚えた知識+その場で探した資料
たとえ記憶だけで答える試験教科書・資料を見ながら答える試験
新しい情報学習した時点より後のことは知らない資料が新しければ答えられる
根拠示しにくい使った資料(出典)を示せる

※Google Cloud・AWS・IBMの解説をもとに編集部が整理

RAGの仕組み:「準備→探す→渡して答える」の3ステップ

AWSとGoogle Cloudの説明をもとに、RAGの流れを3つのステップにまとめると次の通りです。

ステップやること図書館でたとえると
①準備社内文書やWebページなどの資料を細かく分け、探しやすい形(数字の並び=ベクトル)にして保存しておく本を整理して、索引カードを作っておく
②探す質問が来たら、その質問と意味が近い資料を探し出す質問に合いそうな本とページを探す
③渡して答える見つけた資料を質問と一緒にAIに渡し、資料にもとづいて答えを書かせる開いたページを読みながら答える

※AWS「RAGとは」、Google Cloud「検索拡張生成(RAG)とは」をもとに編集部が整理

ポイントは、AIそのものを作り直す(学び直させる)のではなく、答えるたびに必要な資料を「手元に置いてあげる」点です。AWSは、AIを学び直させるより低いコストで新しい情報を取り入れられることを、RAGのメリットとして挙げています。資料を新しくすれば、答えもすぐ新しくなります。

AWSの解説では、社員が「年次休暇は何日ありますか」と聞くと、休暇の規程の文書を探して読んでから答える、という例が紹介されています。

>>AWS公式「RAG(検索拡張生成)とは何ですか?」

RAGが使われている身近な例:ChatGPTの検索・Gemini・NotebookLM・社内チャット

RAGは開発者だけのものではなく、ふだん使っているAIにも、同じ「調べてから答える」考え方が入っています(2026年11月1日時点の各社の公式ヘルプより)。

使われている場面何を調べてから答えるか
ChatGPTの検索・deep researchWebで最新の情報や専門的な情報を調べ、出典付きで答える
Geminiアプリ回答に関係するWebサイト・アップロードしたファイル・Google Workspaceのドキュメントやメールを「ソース」として示すことがある
Gemini Notebook(旧NotebookLM。Googleが2026年7月16日に改名)アップロードしたPDF・Webサイト・動画などの資料にもとづいて答え、回答に引用を付ける
社内文書チャット会社の規程・マニュアル・過去の資料を探してから社員の質問に答える

※OpenAIヘルプ、Geminiアプリヘルプ、NotebookLMヘルプ、AWSの解説をもとに編集部が整理

たとえばGemini Notebook(旧NotebookLM)のヘルプでは、資料がたくさんあるときは、まず質問にもっとも関係する情報を取り出してから答えを作ると説明されています。また、アップロードした資料に含まれる情報にもとづいて答えるように設計されているとも書かれています。まさにRAGの「探してから答える」流れです。

なお、社内文書チャットのように自分や会社の資料をAIに渡すときは、その資料がどこに送られ、どう扱われるかを、サービスの規約や会社のルールで確認しておきましょう。

>>NotebookLMヘルプ「Gemini Notebook の詳細」

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RAGのメリットと注意点:ハルシネーションは減るがゼロにはならない

RAGのメリット

  • 新しい情報に答えられる:AIが学習した時点より後の出来事や、最新の資料にもとづいて答えられる
  • 自分たちだけの情報を使える:社内規程や製品マニュアルなど、ネットにない情報で答えさせられる
  • 出典を確かめられる:どの資料を使ったかを示せるので、読む側が元の文章を見て確認できる
  • ハルシネーションを減らせる:Google Cloudは、事実を質問と一緒にAIに渡すことで、もっともらしい間違いを減らせると説明している

注意点:RAGを使っても間違いはゼロにならない

RAGは万能ではありません。Google Cloudも、探してきた情報が質問と関係のないものだと、答えが的外れになったり不正確になったりすると注意しています。主な落とし穴は次の通りです。

落とし穴どうなるか
探す段階で外す関係のない資料を拾うと、資料にもとづいていても間違った答えになる
資料そのものが古い・間違い資料が間違っていれば、AIも間違いをそのまま答える
資料を読み違える資料を渡しても、AIが内容を取り違えたり、書いていないことを付け足したりすることがある
分けた資料の文脈が抜ける資料を細かく分けると「どの会社の、いつの話か」が分からなくなることがある

※Google Cloud、Anthropicの解説をもとに編集部が整理

最後の「文脈が抜ける」問題について、Anthropicは2024年9月に「Contextual Retrieval(文脈つき検索)」という方法を発表しました。分けた資料の1つ1つに、「これは何の文書の、どの部分か」という短い説明をAIに付けさせてから保存する工夫です。Anthropicの実験では、ほかの改善策と組み合わせることで、必要な資料を探しそこなう割合を最大67%減らせたと報告されています。

裏を返せば、探しそこないは工夫しても残るということです。RAGを使ったAIの答えでも、大事なことは出典を開いて確かめましょう。

よくある誤解:資料が少ないならRAGはいらないことも

AnthropicはContextual Retrievalの発表の中で、資料の量が20万トークン(約500ページ)より少ないなら、探す仕組みを作らずに資料をまるごとAIに渡す方法もあると説明しています(2024年9月時点)。AIが一度に読める量(コンテキストウィンドウ)に収まるなら、まるごと渡すほうが簡単な場合もあります。RAGは、資料が多すぎて一度に渡せないときに力を発揮する仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

>>Google Cloud公式「検索拡張生成(RAG)とは」

>>Anthropic公式「Introducing Contextual Retrieval」(英語)

用語RAGとの関係
ハルシネーションAIがもっともらしい間違いを言うこと。RAGはこれを減らす代表的な方法
LLM(大規模言語モデル)RAGの「答える」部分を担うAI。ChatGPTやClaude、Geminiのもと
コンテキストウィンドウAIが一度に読める量。RAGで探した資料もこの中に入れて渡す
トークンAIが文章を数える単位。資料の量や料金の目安になる

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【まとめ】RAGは「調べてから答えるAI」の仕組み

RAG(検索拡張生成)とは、AIが答える前に資料を探して読み、その内容にもとづいて答える仕組みです。図書館で調べてから答える、カンニングペーパーを見ながら答える、とイメージすると分かりやすいでしょう。ChatGPTの検索やGemini Notebook(旧NotebookLM)、社内文書チャットなど身近なところで使われ、新しい情報や自分たちの資料で答えられるようになります。ただしハルシネーションはゼロにはならないので、出典を開いて確かめる習慣はそのまま続けましょう。

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記事の情報について

AIの技術・サービス・ルールは変化が速く、本記事の予測や見通しは将来を保証するものではありません。各サービスの仕様・料金は公式サイトで最新の情報をご確認ください。本記事の情報は2026年11月1日時点のものです。

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この記事を書いた人

AIの最新ニュースを、AI初心者にもわかりやすく届けるメディア「AIオタク」の編集部です。ChatGPT・Claude・Gemini・Grokなど、各社の新しいモデルや機能の発表を毎日チェックしています。記事は、各社の公式ブログ・ヘルプページ・リリースノートなどの一次情報で事実を確かめてから書いています。運営者自身も、ひとり法人の仕事で記事作成やマーケティングにAIを毎日使っている、AIの「オタク」です。「結局、自分には何が変わるの?」がわかる記事を目指しています。

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