2026年10月16日、Anthropic(アンソロピック)は、AIモデル「Claude Mythos 5」に量子コンピュータ用の回路を設計させた研究の成果を発表しました。
8つの設計課題のすべてで、これまでに公開されている最良の設計を上回る回路を見つけたという内容です。ただし、Claude Mythos 5は誰でも使えるAIではありません。当記事では、Claude Mythosとは何か、なぜ利用が限られているのか、今回の発表で何が分かったのかを、AI初心者向けにわかりやすく解説します。
Anthropicが「Claude Mythos 5」の研究成果を発表!(2026年10月16日)
Anthropicは2026年10月16日、公式サイトの研究ページで「Designing more efficient quantum circuits with Claude(Claudeでより効率的な量子回路を設計する)」という記事を公開しました。記事によると、Claude Mythos 5に8つの量子回路の設計課題を与え、自動で採点するプログラムと組み合わせて改良を繰り返させたところ、すべての課題で、公開済みの最良の設計より少ない部品で済む回路が見つかったとされています。
Anthropic公式の発表はこちら
>>Designing more efficient quantum circuits with Claude(Anthropic公式・英語)
↑上記がAnthropic公式の研究記事です。研究の詳しい内容は、論文としても公開されています。
>>Discovering state-of-the-art quantum circuits with large language models(arXiv・英語)
そもそも「Claude Mythos」とは?読み方は?
「Claude(クロード)」は、Anthropicが作っているAIの名前です。その中でも「Claude Mythos」は、サイバーセキュリティと生物学の研究向けに、限られた組織だけに提供されている最上位クラスのモデルです。Anthropicは公式ページで「サイバーセキュリティと生物学の研究で、最も能力が高いモデル」と説明しています(編集部訳)。
「Mythos」は「ミトス」と読むのが一般的で、ギリシャ語で「神話」を意味する言葉です。公式に読み方の案内はないため、英語の発音(「ミソス」に近い)で呼ばれることもあります。
ということで、この先ではClaude Mythos 5のポイントを順番に紹介します。
Claude Mythos 5が話題になっているポイント4つ
ここからは、上記の4つを1つずつ見ていきましょう。
1. 一般向けの「Claude Fable 5」と中身は同じモデル
Claude Mythos 5は、2026年6月9日に、一般向けの「Claude Fable 5」と同時に発表されました。公式発表によると、2つは同じ基盤のモデルで、違うのは「安全装置」のかけ方です。
Fable 5は、サイバー攻撃や危険な生物・化学の研究に使われないよう安全装置を入れた、誰でも使える版です。Mythos 5は、サイバーセキュリティの分野の安全装置を外し、身元を確かめた防御側の組織にだけ提供する版です。
>>Claude Fable 5 and Claude Mythos 5(Anthropic公式・英語)
2. 量子回路の設計で、8つの課題すべてで既存の最良設計を上回った
量子回路とは、量子コンピュータに計算をさせるための「手順の設計図」のようなものです。同じ計算でも、使う部品(量子ビットやゲート)が少ない設計ほど、実現しやすくなります。
今回の研究では、化学・最適化・物理シミュレーション・数論の分野から8つの課題を選び、Claude Mythos 5に設計させました。Anthropicによると、主な結果は次のとおりです。
- 8つの課題すべてで、公開済みの最良の設計より少ない量子ビット・ゲートで済む設計を見つけた
- 「楕円曲線の点加算」の回路では、量子ビットが12%増える代わりに、ゲートの数が17分の1になった
- ある量子アルゴリズムの中心になる回路では、Googleの従来の設計に比べてゲートの数を約12分の1にした
- 点加算の設計は、約53時間の1回の実行で得られた
注意したいのは、これらは設計の評価やシミュレーションにもとづく見積もりで、実際の量子コンピュータで動かした結果ではない点です。また、数字はAnthropicと論文自身が示したもので、ほかの研究者による再現はこれからです。
3. 2026年9月に「Claude Mythos 5.1」へ更新
Anthropicは2026年9月、後継の「Claude Mythos 5.1」と「Claude Fable 5.1」を発表しました。Fable 5.1は一般提供され、Mythos 5.1は引き続き「信頼されたアクセスプログラム」を通じてのみ提供されています。
>>Introducing Claude Fable 5.1 and Claude Mythos 5.1(Anthropic公式・英語)
4. 能力が高いぶん、一般には公開されていない
Claude Mythosが「やばい」と話題になるのは、能力が高すぎて一般公開されていないモデルだからです。Anthropicは、この能力がサイバー攻撃や危険な兵器づくりに悪用されるおそれがあることを、利用を限っている理由に挙げています。
Mythos 5は、発表直後の2026年6月12日に一時的に利用が止まり、7月1日に米国政府の承認を受けて、一部の米国の組織向けに再開されました。こうした経緯も、注目を集めた理由の一つです。
Claude Mythosはどこで使える?日本では?よくある疑問に回答
ここでは、Claude Mythosについて初心者が気になる疑問に答えます。
Claude Mythosはどこで使える?使い方は?
Claude Mythos 5.1は、審査を通った組織だけが使えるモデルです。公式ページでは、申し込みの窓口として次の2つが案内されています。
| プログラム | 対象 |
|---|---|
| Cyber Verification Program | 防御のためのサイバーセキュリティ業務を行う組織・担当者 |
| Life Sciences Verification Program | ライフサイエンス(生命科学)の研究者 |
※2026年10月19日時点・Anthropic公式ページより
個人がClaudeのアプリから選んで使えるモデルではないため、一般の人向けの「使い方」は今のところありません。なお、利用には安全確認のため、30日間のデータ保持に同意する必要があるとされています。
Claude Mythosは日本で使える?
2026年9月の公式発表では、Mythos 5.1を使えるのは、現時点で米国の組織に限られると説明されています。Anthropicは米国政府と協力しながら、対象を広げていくとしています。つまり、2026年10月19日時点では、日本の会社や個人がMythosを使うことはできません。
Claude Mythosの料金は?
開発者向けの料金は、入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドルからと公式に示されています。トークンとは、AIが文章を処理するときの文字の単位のことです。ただし、審査を通った組織しか使えません。
一般の人が使えるのは「Claude Fable」
Mythosと同じ中身のモデルを使いたい場合は、安全装置つきの「Claude Fable 5.1」が対象になります。Fable 5.1は、Claude APIのほか、AWS・Google Cloud・Microsoft Azureでも一般提供されています。
なお、Anthropicには、より速くて安い小型モデルもあります。気軽に試したい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみましょう。
▶ 関連記事:Anthropicが「Claude Haiku 5.5」を発表!無料で使える?Sonnetとの違いを初心者向けに解説
Claude Mythosで私たちに何が変わる?脆弱性・対策の注意点
Claude Mythosは、一般の人が直接使うモデルではありません。ただ、ソフトウェアの「脆弱性(ぜいじゃくせい)」、つまりセキュリティ上の弱点を見つける力が高いことから、私たちの生活にも間接的に関わってきます。
Anthropicによると、同社の「Claude Security」というサービスはMythos 5.1の上で動いています。防御側の組織がAIで弱点を先に見つけて直せれば、私たちが使うソフトウェアがより安全になることが期待されます。
一方で、AIが弱点を見つける力は、悪用されれば攻撃にも使えます。個人としてできる対策は、これまでと同じく次のような基本を続けることです。
- スマホ・パソコン・アプリのアップデートは、通知が来たら早めに入れる
- 使っていないアプリやアカウントは整理する
- パスワードの使い回しを避け、2段階認証を設定する
量子回路の研究も、すぐに生活が変わる話ではなく、量子コンピュータの実用化をAIが早めるかもしれないという「期待」の段階です。
【まとめ】Claude Mythos 5は限られた組織向けの最上位モデル。量子回路の設計でも成果
2026年10月16日、AnthropicはClaude Mythos 5で量子回路を設計させ、8つの課題すべてで既存の最良設計を上回ったと発表しました。ただし結果はシミュレーションにもとづく見積もりで、Mythosは2026年10月19日時点で米国の一部の組織しか使えません。一般の人が使えるのは同じ中身のClaude Fableなので、まずはそちらの動きをチェックしておきましょう。
>>Claude Mythos(Anthropic公式・英語)
AIの技術・サービス・ルールは変化が速く、本記事の予測や見通しは将来を保証するものではありません。各サービスの仕様・料金は公式サイトで最新の情報をご確認ください。本記事の情報は2026年10月19日時点のものです。
