98歳がテスラの自動運転に驚き!FSDとは?AIで広がる移動の可能性と今の限界

98歳がテスラの自動運転に驚き!FSDとは?AIで広がる移動の可能性と今の限界

2026年10月28日、98歳の男性がテスラの「モデルY」を運転支援機能「FSD(Supervised)」で走らせ、その出来に驚く動画を紹介するXの投稿が話題になりました(この男性の話題は、9月ごろから海外で紹介されています)。紹介したポストは、編集部が確認した時点で302万回以上表示されています。

ただし、FSDは名前に「セルフドライビング」と付いていても、運転する人が常に監視し、責任を持つ「運転支援」で、完全な自動運転ではありません。当記事では、話題の中身とFSDの正体、AIの発達で広がる移動の可能性と今の限界を、AIオタク編集部が整理します。

目次

98歳がテスラの自動運転(FSD)に驚き!話題の投稿の中身

話題になっているのは、海外のニュースをまとめて発信している「Chief Nerd(@TheChiefNerd)」が、日本時間の2026年10月28日21時9分に投稿した動画です。投稿には「98歳の男性が初めての自動運転テスラ モデルYを購入し、驚嘆する」という趣旨の説明が付いています(編集部訳)。動画の元は、電気自動車を紹介するYouTubeチャンネル「TFLEV」の番組です。

98歳の男性が話していること

動画の中で、男性はFSDを使った運転についてこう話しています。

これを運転してからおそらく2、3ヶ月経ちますが、運転でミスをしたことがありません。実際、先日、道路を横切るリスがいて、他の交通量がなく、リスを轢きませんでした…98歳の者にとって、これは本当の楽しみです。(編集部訳)

出典:Chief Nerd(@TheChiefNerd)のXの投稿(2026年10月28日)

98歳の人が、AIが運転を手伝う車を「楽しみ」と感じているところに、多くの人が反応したと考えられます。

動画を見るときに押さえたいこと

動画では、車がハンドルやアクセル・ブレーキを操作しているように見えます。それでも、運転席に座っている男性は「運転者」のままです。次の章で説明するとおり、FSDは運転者が常に前を見て、いつでも自分で操作を引き継げることが前提の仕組みです。「98歳でも車に任せておけば大丈夫」という話ではない点を、最初に押さえておきましょう。

テスラのFSDとは?「自動運転」との違いをレベルで整理

FSDは「監視が必要な運転支援」

FSDは「Full Self-Driving(フルセルフドライビング)」の略で、テスラが提供する運転支援の機能です。今の名前には「Supervised(監視付き)」が付いていて、テスラ・ジャパンは日本語で「フルセルフドライビング(監視義務付き)」と表記しています。

テスラの公式サポートページでは、今使える機能は運転者による積極的な監視が必要で、車を自動運転車にするものではないと説明されています(編集部訳)。オーナーズマニュアルでも、FSDの作動中は常に注意を払い、いつでも操作を引き継げるようにすること、車内のカメラが運転者の注意をチェックすることが書かれています。

>>FSD(Supervised)の説明(テスラ公式サポート・英語)

米国の道路交通安全局(NHTSA)も、FSDを「先進運転支援システム(ADAS)」と位置づけています。ADASとは、運転する人を助ける機能のことで、運転の責任そのものを車が引き受けるものではありません。

自動運転のレベル1〜5(国土交通省の整理)

日本では、国土交通省が自動運転を次のようにレベル分けしています。ポイントは「誰が監視しているか」です。

レベル名称監視する人・仕組み
レベル1運転支援(自動ブレーキ・前の車に付いて走る など)運転者
レベル2特定条件下での自動運転機能(車線を保ちながら前の車に付いて走る など)運転者
レベル3条件付自動運転(システムが運転するが、求められたら運転者が対応)システム
レベル4特定条件下における完全自動運転システム
レベル5完全自動運転(常にシステムが運転)システム

※国土交通省「自動運転のレベル分けについて」より編集部で整理

>>自動運転のレベル分けについて(国土交通省・PDF)

この表に当てはめると、FSD(Supervised)は運転者が監視するレベル2相当の運転支援です。交差点を曲がったり信号で止まったりと、できることは多くても、監視と責任は人の側に残ります。「運転者が乗らずに走る」のはレベル4以上で、FSDとはしくみも決まりもまったく別物です。

日本ではFSDは使える?(2026年10月時点)

テスラ・ジャパンは2025年8月20日、「モデル3」のテスト車両で、FSD(監視義務付き)の技術テスト走行と学習を日本国内で始めたと発表しました。その際、国内で提供を始める時期は「弊社開発状況及び規制当局の許認可に依存します」としています。

>>テスラ、フルセルフドライビング(監視義務付き)日本国内でテスト走行開始(Car Watch・2025年8月20日)

日本経済新聞(2026年10月19日)のインタビューでは、テスラ日本法人の橋本理智社長が、2026年内に日本でFSDを導入する目標について「100%できるよう最大限努力する」と話しています。ただし、実現はテスラだけで決められる話ではないとも認めています。

>>テスラ日本法人社長「FSDの26年解禁、100%実現へ最大限努力」(日本経済新聞・2026年10月19日)

2026年10月30日時点で、日本の一般の利用者向けにFSD(監視付き)の提供が始まったという公式の発表は、編集部では確認できていません。日本で使えるようになるかどうかは、テスラ・ジャパンの公式発表を確認しておきましょう。

AIの発達で広がる移動の可能性

FSDは「完全な自動運転」ではありませんが、AIが運転を手伝う技術が、この数年で大きく進んだのは確かです。AIオタクとして、広がっている可能性を3つに整理します。

1. 運転を「支える」AIで、移動のハードルが下がる

今回の動画で男性が「本当の楽しみ」と話しているように、運転支援は、長い運転で疲れやすい人や、運転に不安を感じ始めた人の助けになる可能性があります。車での移動は、買い物や通院、人に会うことにもつながります。AIが「運転の代わり」ではなく「運転の助け」として、移動を続けたい人を支える方向に進んでいると考えられます。

日本でも、警察庁が「サポートカー限定免許」という制度を設けています。衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や、ペダルの踏み間違いで急に加速するのを抑える装置が付いた車だけを運転できる免許で、申請すれば、免許の更新と一緒にこの条件を付けることもできます。

>>サポートカー限定免許について(警察庁)

2. カメラの映像から学ぶAIが、運転を覚えていく

NHTSAの調査資料によると、テスラのFSDは、車のまわりを映すカメラの映像とFSDのソフトウェアだけで、前方の道路や車・歩行者・信号などを認識して走る道を決めています。テスラは2021年半ばから、レーダーを使わずカメラだけで周りを見る方式(Tesla Vision)に切り替えています。

ChatGPTのようなAIが大量の文章から言葉を学ぶのと同じように、運転のAIは大量の走行の映像から「どう走ればいいか」を学んでいきます。テスラ・ジャパンが日本でのテストを「技術テスト走行と学習」と説明しているのも、日本の道で走るデータを集めて学ばせる必要があるからだと考えられます。

3. 運転者のいない「レベル4」の移動サービスも始まっている

日本では、2023年4月施行の改正道路交通法で、運転者のいない「レベル4」の運行ができるようになりました。国土交通省によると、2023年5月21日に福井県永平寺町で、運転者を配置しないレベル4の自動運転移動サービスが国内で初めて始まっています。

>>国内初!運転者を配置しないレベル4での自動運転移動サービスの開始について(国土交通省)

国土交通省の広報誌では、2026年2月までに全国10カ所でレベル4の自動運転が実装されてきたと紹介されています。政府は、地域を限った無人の自動運転移動サービスを2027年度までに100か所以上で実現する目標も掲げています(国土交通白書2024)。

>>自動運転は「ぶつからない車」の究極の形。始まった「レベル4」の社会実装(国土交通省 広報誌・2026年5月11日)

国土交通白書(2024年)のコラムでは、永平寺町の取り組みの背景として、福井県で高齢運転者による死亡事故が多いことが挙げられています。自家用車のFSDとは別の道として、運転しなくても地域を移動できるバスやカートが、少しずつ広がっているところです。

>>自動運転移動サービスの実用化による地域の足の確保(国土交通白書2024)

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テスラの自動運転(FSD)の今の限界と注意点

運転するのは「人」。監視をやめてはいけない

前述のとおり、FSD(Supervised)を使っていても、運転の責任は運転者にあります。テスラのマニュアルでは、作動中は車内のカメラが運転者の注意をチェックし、注意がそれていると警告が出ると説明されています。「車が運転してくれるから、よそ見をしてもいい」という使い方はできないと覚えておきましょう。

米国では、見えにくい状況での事故を当局が調査中

NHTSAは2026年3月18日、FSDについての調査を「技術分析」という一段深い段階に引き上げました。対象は米国の推計約320万台です。

調べているのは、まぶしい日差しや、ほこり・霧などでカメラが見えにくくなったときに、FSDがそれに気づいて運転者に早めに警告できているかどうかです。NHTSAが確認した9件の事故には、死亡事故1件と負傷事故が含まれます。NHTSAは、確認した事故では、見えにくい状態への警告が衝突の直前まで出なかったり、前の車を見失っていたりしたとしています。

>>NHTSAの調査資料 EA26002(米国道路交通安全局・英語・PDF)

2026年10月30日時点で、この調査が終わったという発表は、編集部では確認できていません。カメラで周りを見るAIは、人の目と同じように「見えないもの」に弱いことがある点は、期待と合わせて知っておきたいところです。

「98歳でも運転できる」とは受け取らない

今回の動画は、1人の男性の数か月の体験談です。FSDが高齢の人の事故を減らすかどうかを示したデータではありません。運転を続けられるかどうかは、年齢だけでなく、その人の体や判断の状態によって変わります。

警察庁も、サポートカーの安全運転支援装置は条件によって作動しないことがあるとして、過信しないよう呼びかけています。FSDも同じで、AIの助けがあっても「自分が運転している」という意識を持ち続けることが大切です。家族の運転が心配なときは、機能に頼り切るのではなく、免許の更新の手続きや地域の移動手段もあわせて確認してみましょう。

【まとめ】テスラの自動運転は「AIと人の二人三脚」の段階

98歳の男性が驚いたテスラのFSD(Supervised)は、運転者の監視が前提のレベル2相当の運転支援で、2026年10月30日時点で日本では提供の開始を確認できていません。AIが運転を助ける技術や、日本のレベル4の移動サービスは着実に広がっています。期待しつつも、今は「AIと人の二人三脚」の段階だと押さえて、最新の情報をチェックしておきましょう。

記事の情報について

AIの技術・サービス・ルールは変化が速く、本記事の予測や見通しは将来を保証するものではありません。各サービスの仕様・料金は公式サイトで最新の情報をご確認ください。本記事の情報は2026年10月30日時点のものです。

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この記事を書いた人

AIの最新ニュースを、AI初心者にもわかりやすく届けるメディア「AIオタク」の編集部です。ChatGPT・Claude・Gemini・Grokなど、各社の新しいモデルや機能の発表を毎日チェックしています。記事は、各社の公式ブログ・ヘルプページ・リリースノートなどの一次情報で事実を確かめてから書いています。運営者自身も、ひとり法人の仕事で記事作成やマーケティングにAIを毎日使っている、AIの「オタク」です。「結局、自分には何が変わるの?」がわかる記事を目指しています。

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