2026年10月27日、Amazonからのメールがゴミ箱に振り分けられ、乗っ取りによる高額な注文に気づけなかったという手口を紹介するXの投稿が拡散しました。当記事では、Amazonの利用規約や公式ヘルプの文言を引用しながら、補償の範囲と、今のうちにできる設定を整理します。
Amazonアカウントの乗っ取りで「メールがゴミ箱へ」がXで話題に(2026年10月27日)
Xで広まった投稿の要点
拡散した投稿の主張を要約すると、「Amazonアカウントを乗っ取られ、Amazonからのメールがすべてゴミ箱に振り分けられていたため、高額な注文に気づかなかった」というものです。投稿では、Amazonの規約ではアカウントの管理は利用者の責任であること、ギフトカード残高の不正利用は原則補償されないこと、カードの補償には期限があることなどもあわせて指摘されています。
ただし、この「ゴミ箱への振り分け」の手口について、Amazonや公的機関の注意喚起は見つかりませんでした(2026年10月28日時点・編集部調べ)。この記事では、手口そのものは「Xで話題になっている指摘」として扱い、補償と対策は公式の情報だけで説明します。
Amazonの公式ヘルプが説明する「なりすまし詐欺」
乗っ取りの入り口としてよくあるのが、なりすまし詐欺(フィッシング詐欺)です。本物そっくりの偽のメールやサイトで、IDやパスワードをだまし取る手口のことです。Amazonの公式ヘルプには、次のように書かれています。
情報をだまし取られた結果、不正に銀行口座からお金を引き出される、アカウントに登録された支払手段で知らない間に商品を購入されるなどの被害につながることがあります。
出典:Amazon.co.jp ヘルプ「詐欺目的の連絡を見分ける」
同じページでは、危険信号として「緊急であることを装う」「個人情報を要求する」「ギフトカードによる支払い」「心当たりのない商品の注文や配達の通知」などが挙げられています。Amazonから届いたメールかどうかは、Amazonのサイトやアプリの「メッセージセンター」で確かめられると案内されています。
登録しているメールアドレスの乗っ取りにも注意
Amazonから届くメールが見えなくなるのは、Amazonアカウントではなく、登録しているメールアドレスの側で設定を変えられた場合にも起こりえます。Amazonの公式ヘルプも、身に覚えのない確認コードが届いたときは、メールなどほかのアカウントも確認するよう呼びかけています。
要求していないワンタイムパスコードまたはサインイン通知を受け取った場合は、他のユーザーがパスワードにアクセスできる状態になっている可能性があります。
出典:Amazon.co.jp ヘルプ「多要素認証について」
同じページでは、パスワードを再設定したうえで、メールアカウントなどに疑わしいアクティビティがないか確認し、アカウントごとに別の安全なパスワードを設定するよう案内されています。
乗っ取られたら補償される?Amazonの規約とギフトカード・カードの扱い
ここからは、乗っ取りで不正に使われたときのお金の扱いを、規約の原文で確認します。
Amazonの利用規約:アカウントとパスワードの管理は利用者の責任
Amazon.co.jp利用規約の「アカウント」の項目には、次のように書かれています。
お客様は、ご自身のアカウントとパスワードの機密性を維持し、アカウントへのアクセスを制限する責任があり、ご自身のアカウントまたはパスワードで行われた活動に関する責任があります。
出典:Amazon.co.jp利用規約(2025年9月1日更新)
つまり、規約のうえでは、自分のアカウントとパスワードで行われた注文は、原則として自分の責任になるということです。Xの投稿では、消費者契約法により規約が無効になる場合もあるという指摘もありますが、個別の事情によるため、困ったときは後で紹介する公的な相談窓口に相談しましょう。
Amazonギフトカード残高:不正利用の損失は「原則として補償しない」
Amazonギフトカードは、資金決済法の「前払式支払手段」です。発行会社のAmazon Gift Cards Japan合同会社は、不正利用の扱いを次のように表示しています。
当社は、無権限取引※により発生した損失を原則として補償しません。ただし、個別の事情に鑑み、例外として、該当するギフトカードの額面額を上限として、お客様の損失を補償することがあります。
出典:Amazon.co.jp「資金決済法に関する表示」(Amazonギフトカード)
「無権限取引」とは、本人の意思に反する不正な利用や不正なチャージのことです。ギフトカード残高を乗っ取りで使われても、原則として補償されないと表示されています。Amazonギフトカード細則(2025年3月28日更新)にも、ギフトカードや残高の不正利用を防ぐ責任は利用者にあると書かれています。
>>Amazonギフトカード細則(Amazon.co.jp 公式)
クレジットカード:補償は「60日」などの期限つき
クレジットカードの不正利用は、多くのカード会社が会員規約で補償の制度を設けています。ただし、届け出の期限があり、数え始める日も会社によって違います。
| カード会社の例 | 公式ページに書かれている期限 |
|---|---|
| 三菱UFJニコス | 盗難・紛失の連絡をした日から61日以前の利用は補償の対象外 |
| JCB(番号が354・355で始まるJCBカード) | 該当の明細が記載された利用代金明細の通知後60日以内の届け出が必要 |
期限は、三菱UFJニコスは同社に連絡した日から、JCBは利用代金明細の通知から数えます。どちらも、気づくのが遅れると補償を受けられなくなるおそれがあります。JCBのページでは、暗証番号やパスワードなどの認証情報が使われた場合も、補償の対象外になる例として挙げられています。三菱UFJニコスのページでも、推測されやすい暗証番号にしていたなどの理由で暗証番号が入力された利用は対象外とされています。Xの投稿にあった「カードにより90日」という期限は、今回確認した公式ページでは見つかりませんでした。自分のカードの会員規約で確認しておきましょう。
>>クレジットカードの不正利用に対する取り組みについて(三菱UFJニコス 公式)
明細を見ていなかったら補償されなかった例(鹿児島県の相談事例)
鹿児島県消費生活センターは、使っていないカードが2か月にわたり合計70万円不正に使われていた相談事例を公表しています。この事例はAmazonでの被害ではありません。
クレジットカード会社からは「既に補償期間の60日を経過しており補償できない」と言われた。
出典:鹿児島県「クレジットカードの不正利用~利用明細は必ず毎月確認!」
相談者は、利用明細が郵送からアプリでの確認に変わったあと、明細を見ていなかったそうです。センターは、利用明細を毎月確認し、注文確認メールなどと照らし合わせること、不正が疑われたらすぐカード会社に連絡することをすすめています。
▶ 関連記事:証券口座の乗っ取り、どこまで補償される?主要14社の公式方針を比較
Amazonアカウントの乗っ取りを防ぐ、今のうちにやる設定6つ
Amazonの公式ヘルプなどで手順を確認できた設定を、6つにまとめました。
1. 2段階認証をオンにする
2段階認証とは、パスワードに加えて、スマホに届く確認コードなどでも本人確認をするしくみです。Amazonの公式ヘルプでの手順は次のとおりです。
- 「アカウントサービス」で「ログインとセキュリティ」を選ぶ
- 「2段階認証 (2SV)の設定」の横にある「編集」を選ぶ
- 「はじめる」を選び、画面の指示に従う
確認コードは、SMS(テキストメッセージ)か認証アプリで受け取れます。
>>2段階認証について(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
2. パスキーを設定する
パスキーは、パスワードの代わりに、スマホやパソコンの指紋認証・顔認証・PINでログインするしくみです。Amazonの公式ヘルプでは、フィッシング攻撃やデータ漏えいからアカウントを保護できると説明されています。
設定は「アカウントサービス」→「ログインとセキュリティ」→「パスキー」の横の「設定」から行います。パスキーはApple IDやGoogleアカウントなどに保存されるため、預け先のアカウントの守りも大切です。
>>パスキーについて(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
▶ 関連記事:SBI証券がパスキー悪用の疑いで注意喚起!Google・Appleで今すぐやる設定
3. 携帯電話番号とメールアドレスの両方を登録する
Eメールのみのアカウントは、 悪意のある人物による攻撃を受けやすいです。携帯電話番号を追加すると、両方の連絡方法を通じてアラートが届きます。
出典:Amazon.co.jp ヘルプ「アカウントを安全に保つには」
「ログインとセキュリティ」で、登録されている電話番号とメールアドレスが自分のものかもあわせて確認しておきましょう。
4. 登録メールの振り分け・転送を確認する
Xの投稿で話題になったのが、この点です。Amazonに登録しているメールアドレスにも2段階認証をかけ、自分で作った覚えのない振り分け(フィルタ)や転送の設定がないか見ておきましょう。Gmailの場合、公式ヘルプでは次の場所で確認するよう案内されています。
- 右上の設定アイコン→「すべての設定を表示」→「フィルタとブロック中のアドレス」:メールを自動的に削除するフィルタがあれば、自分で設定したものか確認する
- 同じく「メール転送と POP/IMAP」:メールが知らないアカウントに転送されていないか確認する
Googleの公式ヘルプでは、Googleアカウントに他人がログインしたと思われる場合、同じパスワードを使っているほかのアプリやサイトのパスワードも変えるよう案内されています。パスワードの使い回しはやめておきましょう。
>>Gmail のセキュリティに関する推奨(Google 公式ヘルプ)
>>ハッキングまたは不正使用された Google アカウントを保護する(Google 公式ヘルプ)
5. ギフトカード残高とオートチャージを見直す
前述の通り、ギフトカード残高の不正利用は原則として補償されません。多めの残高を置いたままにしない、自動でチャージする設定を使っていなければ止めておく、といった見直しが考えられます。
- オートチャージの停止:「ギフトカード残高」ページで「オートチャージのキャンセル」を選び、確認する
- 残高を使わずに注文:レジで「ギフトカードおよびプロモーションコードを使用する」のチェックを外す(ただし、定期おトク便の注文には残高が自動で使われる)
>>Amazonチャージタイプギフトカードのオートチャージ設定を停止する(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
>>後日使用するためにギフトカード残高を保存する(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
6. Prime Video・Fire TVの購入にPINをかける
Prime Videoの「機能制限」を使うと、購入のときなどにPIN(暗証番号)の入力を求められるようになります。ウェブでは「プロフィール」ページ→「プロフィールを編集」→アカウント所有者のプロフィール→「アカウントのPINとロック」の「管理」から、PINを作成します。
注意点として、Fire TVには独自の機能制限の設定があり、端末の上で設定する必要があります。Fire TVでは「設定」→「環境設定」→「ペアレンタルコントロール」から、購入などをPINで守るかを選べます。
>>Prime Videoの機能制限(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
>>ウェブでPrime VideoアカウントのPINを設定する(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
>>Fire TVで機能制限を設定する(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
あわせて、カード会社のアプリの利用通知(使うたびに知らせる機能)があればオンにし、利用明細を毎月見る習慣をつけておきましょう。
▶ 関連記事:Google Authenticatorの同期は危険?Google認証システムのオン・オフのリスクと設定
Amazonアカウントが乗っ取られたかも?と思ったときの対処
身に覚えのない注文や確認コードに気づいたら、メールやSMSのリンクは使わず、Amazonの公式アプリかブックマークした公式サイトから操作しましょう。公式ヘルプの案内をもとに、確認しておきたいことをまとめました。
- パスワードを再設定する(ログインできない場合は「パスワードアシスタント」から)
- 「ログインとセキュリティ」で、電話番号・メールアドレス・2段階認証の設定が変わっていないか確認する
- 注文履歴とお届け先の住所に、覚えのないものがないか確認する
- 「デバイス」の一覧に覚えのない端末があれば登録を解除する
- カードが使われていたら、カード会社に連絡する
- Amazonのカスタマーサービスに不審なアクティビティとして報告する
いつ何に気づき、何をしたかは、画面の記録と日時を残しておくと、カード会社やカスタマーサービスに説明しやすくなります。なお、すべての端末から一度にサインアウトする方法は、Amazonの日本語ヘルプでは確認できませんでした(2026年10月28日時点)。
>>パスワードの再設定(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
>>Amazonデバイスの登録を解除する方法(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
>>不審なアクティビティを報告する(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
解決しないときの相談先として、Amazonの公式ヘルプには次の窓口が載っています。
- 消費者ホットライン:188(いやや)
- 警察相談専用電話:#9110
>>詐欺の被害から身を守る(Amazon.co.jp 公式ヘルプ)
【まとめ】Amazonの乗っ取りは「補償されにくい」前提で守りを固める
Amazonの規約では、アカウントとパスワードで行われた活動は利用者の責任とされ、ギフトカード残高の不正利用も原則として補償されません。2段階認証とパスキー、登録メールの振り分けの確認、カードの明細チェックを、今のうちに済ませておきましょう。
※2026年10月28日時点・Amazon.co.jp(利用規約・ギフトカード細則・資金決済法に関する表示・公式ヘルプ)、三菱UFJニコス、JCB、鹿児島県、Googleの公式ページより。Xの投稿は話題のきっかけとして要約したもので、出典にはしていません。
AIの技術・サービス・ルールは変化が速く、本記事の予測や見通しは将来を保証するものではありません。各サービスの仕様・料金は公式サイトで最新の情報をご確認ください。本記事の情報は2026年10月28日時点のものです。
