国家サイバー統括室(NCO)は、公式サイトのトップで「国家サイバー統括室(NCO)、NISCの名を騙り、金銭を要求する不審な電話が確認されています」と注意を呼びかけています。サイバー攻撃の被害者への示談金や、サイバー保険の保険料といった名目でお金を求める電話です。
当記事では、確認されている手口と、国の機関はどう連絡してこないのか、電話やメールが来たときの相談先を、国の公式情報をもとに整理します。
国家サイバー統括室(NCO)が「名をかたる電話・メール」に注意を呼びかけ
国家サイバー統括室の公式の注意喚起はこちら
2026年10月29日時点で、国家サイバー統括室の公式サイトのトップには「国家サイバー統括室(NCO)を騙った不審な電話等にご注意ください」という見出しがあり、2つのお知らせへのリンクが並んでいます。
- 国家サイバー統括室(NCO)の名を騙った、不審なメール等にご注意ください。
- 国家サイバー統括室(NCO)、NISCの名を騙り、金銭を要求する不審な電話が確認されています。
電話についてのお知らせでは、国家サイバー統括室やNISCから、このような連絡を行うことは一切ないとはっきり書かれています。
>>NCO・NISCを騙った不審な電話等にご注意ください(国家サイバー統括室)
そもそも国家サイバー統括室(NCO)とは?
国家サイバー統括室は、内閣官房に置かれている組織で、国のサイバーセキュリティ(ネットの安全を守る取り組み)の総合調整役を担っています。公式サイトの「組織の沿革」によると、2025年7月に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を改組して設置されました。
NISCは改組される前の組織の名前で、詐欺ではこの以前の名前も使われています。公式サイトのアドレスも、2025年12月3日に「nisc.go.jp」から「cyber.go.jp」に変わりました。
メールの注意喚起は、デジタル庁のお知らせにつながっている
トップにある「不審なメール等」のリンクを開くと、デジタル庁の2026年9月11日のお知らせ「ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスによる職員等の個人情報の漏えいの可能性について」が表示されます。
デジタル庁によると、各府省庁が使うシステムへの不正アクセスで、職員や業務に携わった人の氏名・メールアドレスなど約24.6万件が漏えいした可能性があります。デジタル庁は、漏えいした情報が、なりすましメールやフィッシングメールに悪用される可能性があるとして、デジタル庁や関係機関を装った不審なメール・電話・SMSに注意するよう呼びかけています。
なお、デジタル庁のお知らせの本文には、国家サイバー統括室の名前は出てきません(2026年10月29日時点)。国家サイバー統括室が、関係機関を装うメールへの注意として、このお知らせを案内している形です。
>>ガバメントソリューションサービスへの不正アクセスによる個人情報の漏えいの可能性について(デジタル庁)
国家サイバー統括室をかたる詐欺の手口は?ポイント3つ
国家サイバー統括室のお知らせに書かれている電話の手口は、次の3つです。
1. 示談金・賠償金・保険料を名目にお金を求める
国家サイバー統括室によると、個人に対して、サイバー攻撃による被害者への示談金や賠償金、そのためのサイバー保険の保険料を名目に、お金を求める電話が確認されています。
サイバー攻撃の「被害者への示談金」と言われると、自分が加害者になったように感じて慌ててしまうかもしれません。しかし、前述の通り、国家サイバー統括室がこうした名目でお金を求める連絡をすることはありません。
2. 電話会社・警察・弁護士などが入れ替わりで電話してくる
国家サイバー統括室やNISCだけでなく、電話会社や警察、弁護士など、複数の関係者を装って入れ替わりで電話をかけてくる手口も確認されています。
登場人物が増えても、お金を求めてくる時点で詐欺を疑いましょう。
3. 「誰にも言わないで」と口止めする
誰にも口外や相談をしないように言い含めるなど、不安をあおって混乱させ、巧妙にだます手口も確認されています。
「誰にも言わないで」と言われたら、むしろ相談するタイミングだと覚えておきましょう。
本物の連絡か見分けるには?よくある疑問
国家サイバー統括室からお金の話の連絡が来ることはある?
ありません。国家サイバー統括室は、示談金・賠償金・保険料を名目にお金を求めるような連絡を行うことは「一切ありません」としています。
また、デジタル庁も、パスワードなどの認証情報やクレジットカード情報などを、メールや電話で聞くことはないとしています。国の機関を名乗る相手からお金や暗証番号、カード番号の話が出たら、その時点で応じないようにしましょう。
国家サイバー統括室からのメールか確かめる方法は?
国家サイバー統括室は2025年12月18日のお知らせで、同室のドメイン(〜@cyber.go.jp)から送るメールについて、BIMI(ビミ)という仕組みに対応したメールサービスで受け取ると、受信箱に同室のシンボルマークがアイコンとして表示されると案内しています。
BIMIは、認証された組織のマークを表示する、なりすましメール対策の技術です。
ただし、アイコンが出るのはBIMIに対応したメールサービスで受け取った場合だけです。迷ったときは、メールの中のリンクや添付ファイルを開かず、国家サイバー統括室の公式サイトを自分で開いて確かめましょう。
>>国家サイバー統括室からのメール受信におけるシンボルマークのアイコン表示について(PDF)
デジタル庁の情報漏えいで、自分の情報も漏れた?
デジタル庁によると、漏えいした可能性がある個人情報は、システムを使う府省庁の職員や、その業務に携わった事業者・個人のもので、一般の人の個人情報は含まれていないことを確認したとしています。マイナンバーや金融機関の口座情報、年金番号なども含まれていないとしています。
対象になる人には、デジタル庁から順番に個別の連絡をするとしています(2026年9月11日のお知らせ時点)。国の仕事を請け負ったことがある個人事業主や会社の人は、デジタル庁を名乗る連絡が来たら、お知らせに書かれた専用の窓口に自分から確かめると安心です。
会社や個人事業主は「国の制度」をネタにした勧誘にも注意
経済産業省と国家サイバー統括室は2026年4月27日、国のセキュリティ対策の評価制度(SCS評価制度)を引き合いに、「評価を取得していないと商取引が規制される」「今すぐ取得しないと入札から除外される」といった営業で製品やサービスを勧める例が報告されていると注意を呼びかけました。
この制度は任意のもので、商取引を規制するものではなく、特定の製品の導入も必須ではないとしています。国の制度を持ち出して急がせる勧誘には、すぐに契約しないようにしましょう。
>>SCS評価制度に係る不適切な勧誘に御注意ください(経済産業省・国家サイバー統括室・PDF)
国家サイバー統括室を名乗る電話・メールが来たらどうする?相談先
まずはお金を払わず、電話を切る
国家サイバー統括室を名乗る相手からお金の話が出たら、その場で払わず、電話を切りましょう。「今日中に」「誰にも言わずに」と急かされても、応じる必要はありません。
確かめたいときは、相手が伝えてきた電話番号にはかけ直さず、公式サイトに載っている連絡先や、最寄りの警察署・「#9110」に自分からかけましょう。
メールやSMSの場合は、デジタル庁が呼びかけているとおり、身に覚えのない連絡のリンクや添付ファイルを開かず、パスワードやカード情報を入力しないことが大切です。
相談先の一覧
国家サイバー統括室は、疑わしい電話を受けた場合や被害にあった場合は、最寄りの警察署に相談または通報するよう呼びかけています。警察庁・消費者庁が案内している主な相談先は次のとおりです。
| 相談先 | どんなときに? |
|---|---|
| 最寄りの警察署 | 国家サイバー統括室が案内している相談・通報先 |
| 警察相談専用電話「#9110」 | 詐欺かもしれないと不安を感じたとき(警察庁の特殊詐欺対策ページで案内) |
| 110番 | 緊急を要するとき |
| 警察庁のサイバー事案のオンライン受付窓口 | ネットやメールに関わる事案を、住んでいる都道府県の警察に通報・相談したいとき |
| 消費者ホットライン「188」 | 商品やサービスなど消費生活全般の相談(近くの消費生活センターにつながる) |
| IPA 情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509) | パソコン・スマホのセキュリティについての技術的な相談 |
家族とも手口を共有しておく
警察庁の特殊詐欺対策ページでは、警察官などを名乗る「ニセ警察詐欺」にも注意を呼びかけています。公的機関の名前を使い、複数人で入れ替わって信じ込ませる詐欺は、家族で「国の機関がお金を求める電話はかけてこない」と共有しておくのが効果的でしょう。
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※2026年10月29日時点・国家サイバー統括室の公式サイト(トップ・お知らせ・組織の沿革・2025年12月18日と2026年4月27日の資料)、デジタル庁の2026年9月11日のお知らせ、警察庁・消費者庁の相談窓口のページより
【まとめ】国家サイバー統括室がお金を求める電話はかけてこない
国家サイバー統括室(NCO)やNISCの名をかたり、示談金・賠償金・サイバー保険の保険料を名目にお金を求める電話が確認されています。国家サイバー統括室はこうした連絡を一切しないとしているので、電話が来たらお金を払わずに切り、最寄りの警察署や「#9110」に相談しましょう。
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